映画監督の行定勲さんは、日本アカデミー賞最優秀監督賞など、数々の映画賞を受賞してきました。作品に使われている音楽や音は、非常に繊細で人の心の琴線を震わせます。音の力を大切にする行定監督にゼンハイザーのアンビオサウンドバープラスの音はどう響いたのか、伺いました。
映画において音楽の役割や存在はどういうものですか?
行定基本的に映画は「連なり」です。画が連続しているものなんですけど、作られた映像があるとするならば、そこに臨場感を与えているのは音なんですよね。僕はよく編集するときに音を消して編集をするんです。それは、絵だけで存分に映画が楽しんでもらえるかどうかを確認しているんですよね。まず、それが成り立つことが映画なんですけど、ここに何が加わると一番面白く見えるか、さらに面白くなるかっていうのは圧倒的に音楽と音なんです。音が加わることでさらに作っていた画の連なりですね、それを観客に見せるんですが、さらにもっと奥行きを作ったり、その音で観客が見ているものではない、自分の実体験の中にある歴史とか、そういうものの中にある記憶を呼び起こしたりする。それが直接心の琴線に触れるとか、涙腺を刺激して涙が出る。僕は、それは圧倒的に音の力だと思っているんです。画だけを見ていても、音を消して見ていてもそうはならない。そこにある音によって説得力が増すんですよね。例えばキャラクターだったり、そこに立っている主人公たちの状況だったり、臨場感ですよね。だから、それがやはり観客に一番直接的に刺さってくるものなので、音はものすごく重要なんです。
映画作りの中で特に音にこだわっている部分は何ですか。
行定サウンドデザインという言葉になるんですが、音楽が音楽としてあるのならば、それに合わせたセリフだとか、モノローグだとか、そういうことのバランスを取っていて、突然音楽がなくなって不在になったとき、その音楽がなくなった瞬間にまたうるさい音が来るんじゃなくて、静けさとつながっているというか。その撮影現場で録音した環境の音、例えば川が流れているのに川の音を普通に入れてしまうとその音楽と川の音っていうのが直結的に同じレベルで音楽がフワーってあったのがスーってなくなったときに川の音につながっていくっていうのもあるんだけど、静かな中に彼らのセリフが入っているっていう、何かどこかのきっかけでその川の音が聞こえてくるとか、そういうバランスを取ることがくせとしてあり、空気がつながっていながら音楽が引き算としてなくなっていったとき、音楽が誘った空気みたいなものをそのままつなげていく。静かであるということが、実は、ものすごく音をたくさん入れて迫力があり、音楽がすごく感動的になっていることと同じぐらい、その後にくる静けさというのは引き算なですが、音とか音楽があることよりもっと意味を成す。そういうことがやっぱりすごく重要になってくると思ったりします。
自宅で観る映画の音についてはどうお考えですか。
行定劇場で映画を体験してもらうものだと思って僕らは仕上げをやっているんですが、スクリーンのサイズで考えて、スクリーンに投影して確認しているんです。音を作っている環境もほぼほぼ映画館と同じ環境で、映画館で聴くことを前提に音を作っているんです。それが、サブスクリプションプラットホームがたくさん増えてきて、配信で色んな動画が見れるようになったんで、映画館に行かずにもう家で見ればいいやと思いがち。(音が)抜け落ちた形で観客に伝わっていくことが一番僕のジレンマなんです。(音が)立体的にならない。要するに平面なんですよね。VRみたいなものが出てきても一般的にいうと平面で見るっていう映画の概念みたいなもの、テレビドラマもそうですけど、それは変わらないわけですよね。クオリティ自体は全部一緒なのに、モニターで見ることで、要するに自分の生活環境の中で見ると、周りの、例えば同居してる人の音だとか、トイレの音だとか全部そういうのも入ってくるわけですよね。それを遮断するのってかなり難しいことなんだけども、それは多分見る側の姿勢にも関わっているような気がしていて。
ゼンハイザーブランドのイメージは?
行定いやもう音がいいっていうことですね。映画業界の人たちは根本的に、ゼンハイザーのマイク使って、それを飛ばしてモニタリングしているんですけど、技術者はみんなゼンハイザーのヘッドホンを使っています。映画の現場でいうと音は生っぽい。ちゃんと聞こえるんですよ。例えば、セリフ一つ、言葉一つの語尾の感じとか、咀嚼音みたいなものとか、完全に逃さないぐらいの立体的な音がちゃんと聞こえてくるんで、定評があるんですよね。説得力が出てくるんですよね。その人たちが普段聞こえない音まで拾っているということは、表現の幅を、想像を広げるんですよ。普段から僕らが撮影してるときから、そういうものがちゃんと聞こえてきていて、だからこそ、さらにそれを強調する形で表現繋げていくっていう。それをもっと伸ばしてやろうっていう気持ちにさせてくれるっていう。やっぱり音響の力ってすごく重要ですね。
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アンビオサウンドバー プラスを体験してみて音質はいかがでしたか?
行定いろんなことが頭を駆け巡りましたけど、今僕が言ってたように、自分のジレンマみたいなものが、これは解消できるんじゃないのって。音がものすごくちゃんとアプローチしてくれる。これは僕が他者に対して言えることでもあるんだけど、なんか自分たちが狙っていたものっていうものがちゃんと観客の感性に届く役割をしてくれるんじゃないかなと思いましたね。立体的でしたよね、圧倒的に。ちょっと驚きだなというか。「これ、俺んとこ置けるかな」ぐらいの気持ちになりました。「置けるよなこれだったら」みたいなサイズ。それができるっていうのはすごい。劇場で観ていたあの映画もこれ1個あったら、ちょっとあれもう1回見てみようかなって引きずり出して買ったやつを見てみようかなって気持ちにもさせられるような、何かそういうものがあるなと。音響がいいものを優先して見てみようって気持ちになる。迫力みたいなものが、やっぱりダイレクトにすごく近距離でちゃんと自分とモニターとの距離の間にものすごくその世界観を作ってくれる環境、これはもう素晴らしいんじゃないかな。
(『リバース・エッジ』や『真夜中の五分前』などアンビオサウンドバープラスで観てほしいご自身の作品の中で)『リバーズ・エッジ』をアンビオサウンドバー プラスで観られた感想は?
行定後半、音楽が音楽とナレーションしかない部分っていうのはものすごく、あのダビングっていう作業、最後のポストプロダクションでものすごく苦労したんですよ。世武裕子さんと言う音楽家が作った揺蕩うような世界観、ものすごい広がりを持った音楽だったんです。その音楽の中にナレーションがちゃんと聞こえなきゃいけないっていう、この音楽を主張したいんだけど、そっちで聞かせたら、ナレーションが沈んじゃうんでちゃんとその立体的にナレーションがあるかどうかっていうのを(アンビオサウンドバー プラスで)見たんですけど、それはもうもちろん音はすごく良いです。一番重要だったのは、夜の静けさ、夜中に2人の少年少女が小川橋の上に佇んでいるってシーンですけど、そこをものすごく静かにしたかったんですね。そこにセリフだけはポツポツッとクライマックス、ラストシーンなんですけど、そこに何かサウンドデザインの良さがあるっていうふうにずっと信じたんですけど、これが映画では再現できているんですが、静かになるっていう状況が、(家庭環境では)音のレンジが狭すぎて雰囲気が平坦になっちゃうんですよね。それが(アンビオサウンドバー プラスで)どうなってんのかなと(思って)観させていただいたんですけど、それはちゃんときっちりとカクッて静かになって、セリフだけはポツンポツンと置いてあるっていうのができていた。(つまり)立体的ってことなんですけど。
アンビオサウンドバー プラスで観てほしい他の監督の作品は?
行定いくつかありますけど、『プライベートライアン』っていうスティーヴン・スピルバーグの映画あって(映画の舞台が)戦場なんですよね。最も戦場の最前線で、銃撃戦があるんだけどその球が、人に当たったり、すり抜けていったりするっていう音。衝撃って、本当に戦場の最前線にいてこんな残酷なことがこんな愚かな、人が殺められていくっていう状況がいかに残酷で、こんなに恐ろしいものなのかってことを延々経験させるんですよ、スピルバーグが。前半のシーンにおいては、音響の方たちが、世界中の人たちが思っているような映像作り、音の立体性みたいな。立体的な音を作っているんで、それはちょっと見てみたいなっていうふうには今ぱっと思いましたけどね。
アンビオサウンドバー プラスのサイズ感やデザインはどうですか?
行定シンプルでいいですね。余計なことがなくて、有線でこれだけくっつければこれだけ出るんだっていうそれがもうわかりやすくていいというか。(デザインも)主張してなくていい。僕はすごい好きですけどね、黒くて。
アンビオサウンドバー プラスをどんな人におすすめしたいですか?
行定映画好きな人たちはもちろんなんですけどなかなか忙しくて映画館に行けなくて、とか、子どもがまだ小さいから、子どもたちが寝静まった後に韓流のドラマを見るとかいうお母さんとかは本当に楽しみに見ていると思うし、本当にマニアックにのめり込んで作品に没頭して好きで見ている人たちっていうのはこういうのがあるとまるで映画館に来たような体験もできるだろうし。音量を小さくしてもかなりいい感じで、モニターとの距離が近いだろうから、完全に自分一人だけの映画館っていうか、その環境作りがね。あと日本の一人暮らしの方たちは、狭い空間で一人だけの劇場みたいに一瞬にしてなる。この近距離でね。そういう人たちにはかなりうってつけ。場所を取らないからいいなと思ったし、僕もアトリエはそんなに広くないんですけど、アトリエにこれ欲しいなと思っちゃいました。
アンビオサブの音響はいかがでしたか?
行定明らかに重低音ってすごく重要な部分なんですよね。やっぱり、感覚としては地響きがするようなこととか、臨場感ですよね。やっぱり低音が響かないとそれって実感しないというか、波動ですから。それがもう体に直接的に音が、音の圧がかかってくるっていう、やっぱそれって世界観を誘うことだし、逆に言うと、さっき言った静けさにパンッて抜く、そのメリハリですよね。すごく空気を揺らしている。音って重低音だから、やっぱりそれは意識的に映画で一番重要にしてるところ。映画音楽もそうだし、やっぱ地響きするような、重低音の部分が出ているか出ていないかで、明らかに迫力が違う。それを感じさせてくれるっていうのはなかなか、その家庭環境の中ではなかなかない。聞かせてもらったときに感じたのは、それなんですよね。明らかに「これが、できてんの!?」っていう。
アンビオを体験されたことで、自宅で映画を観てもらうことへの印象は変わりましたか?
行定何か上乗せできますよね。楽しみがある。やっぱ作り手としては、作り手冥利に尽きるっていうか本当に自分たちが思い描いたことが少しでも伝わるっていうことは、嬉しい限りですね。
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